ご使用に際して
1直流用アルミニウム電解コンデンサは、有極性です。
極性を逆にしてご使用になると異常電流が流れ回路が短絡したり、コンデンサが破壊する事があります。極性の不安定、不明確な回路には直流用極性アルミニウム電解コンデンサをご使用下さい。
但し、直流用両極性アルミニウム電解コンデンサは、交流回路にはご使用できません。
2定格電圧以下でご使用下さい。
定格電圧を超える電圧を印加すると、漏れ電流が著しく増加し著しい特性劣化や破壊をおこします。リプル電流を重畳する場合、リプル電圧の尖頭値が定格電圧を超えないように注意して下さい。
3急激な充放電回路でのご使用について
急激な充放電を繰り返す回路にご使用になりますと、コンデンサの内部発熱により、特性劣化や破壊に至る事があります。このような回路には、急充放電回路用コンデンサがありますのでご相談下さい。
4定格リプル電流以下でご使用下さい。
定格リプル電流を超えるリプル電流を流しますと、コンデンサの内部発熱が大きくなり寿命を縮めたり、極端な場合には、破壊に至る事があります。
このような回路には、高リプル用電解コンデンサをご使用下さい。
5カテゴリ温度(使用温度)による特性の変化について
電解コンデンサの特性は、温度によって次のように変化します。この変化は一時的なものであり、温度が常温に戻れば回復します(高温長時間による特性劣化を除く)。なお、保証範囲以上の温度でのご使用では漏れ電流が増加し破壊する場合があります。機器の置かれる周囲温度、機器内の温度のみでなく機器内での発熱体よりの放射熱、リプル電流による自己発熱等も含めたコンデンサの温度にご注意下さい。
- 1.定格静電容量 は、通常20℃・120Hzのときの値をもって表していますが、温度が高くなると増加、低くなると減少する傾向にあります。
- 2.損失角の正接(tanδ)は、通常20℃・120Hzのときの値をもって表していますが、周囲温度が高くなると減少し、低くなると増加する傾向にあります。
- 3.漏れ電流は、温度が高くなると増加し、低くなると減少します。
6周波数による特性の変化について
電解コンデンサの特性は、使用周波数によって次のように変化します。
- 1.静電容量は、通常20℃・120Hzのときの値をもって表しますが、周波数が高くなると減少します。
- 2.損失角の正接(tanδ)は、通常20℃・120Hzの時の値をもって表しますが、周波数が高くなると増加します。
- 3.インピーダンスは、通常20℃・100KHzのときの値をもって表しますが、周波数が低くなると増加します。
7アルミニウム電解コンデンサの放置による変化について
アルミニウム電解コンデンサは、未使用又は機器に取り付け後の保管が長期に及んだ場合、漏れ電流が増加する性質があります。特に周囲温度が高い程、この傾向は著しくなります。尚、電圧印加により漏れ電流は減少します。常温で2年以上(高温ではより短期間)経過し漏れ電流が増加している場合は、必要に応じて電圧印加処理を行って下さい。
また、機器の設計時には初期電流の増加の影響を考慮し、必要に応じて保護回路を併設して下さい。
8コンデンサのケースと陰極端子は絶縁されておりません。
電解コンデンサのケースと陰極端子は、電解液によって不定の抵抗で接続されております。
9外装スリーブについて
どのようにビッカース硬さロックウェルを変換するには?
コンデンサに被覆している外装スリーブは、有機溶剤等に浸漬後高温にさらされると亀裂等を生じることがありますのでご注意下さい。一般のアルミ電解コンデンサの外装スリーブはボリ塩化ビニルを使用しておりますが、これは表示を目的としたものであり電気的絶縁の機能を有しておりません。
10特異な使用環境について
ハロゲン(化合物)ガス濃度の高い環境におかれますとプリント配線板の洗浄時と同様に腐食が発生することがあります。電子機器類を海外に輸出する場合、ハロゲン(化合物)ガスで燻蒸処理をする場合がありますので、この場合もご注意ください。
11配線板の穴ピッチを合わせて下さい。
プリント配線板の穴ピッチは、コンデンサのリードピッチ(カタログ中のF寸法)に合わせて設定下さい。リードピッチと穴ピッチが異なりますと、リード線にストレスがかかり、ショート、断線、漏れ電流の増大等の原因となりますのでご注意下さい。
12圧力弁付きコンデンサ
- 1.圧力弁は、コンデンサに過電圧、逆電圧等の異常な負荷がかかった際に、内圧の上昇による爆発を防止するためにケース等の一部を薄くして弁機能をもたせたものです。弁の作動後は、復元しないためコンデンサは交換する必要があります。
- 2.ケース圧力弁付き品については、圧力弁の作動時に支障のないよう圧力弁の上部に空隙を設けて下さい。
コンデンサの直径 | φ18以下 | φ20〜35 |
圧力弁上部の空隙 | 2.0以上 | 3.0以上 |
13両面配線配線板について
電解コンデンサを両面配線配線板でご使用の場合、配線パターンがコンデンサの取り付け部にかからぬようご注意下さい。取り付け状態によっては配線配線板上でショートする危険があります。
14コンデンサの接続について
衝撃振動の電子パッケージング
- 1.コンデンサを2個以上並列に接続する場合は、コンデンサ間の電流バランスを崩し、一部のコンデンサに過リプル電流が流れる場合がありますので、回路設計において充分配慮し、過リプル電流が流れないようにして下さい。
- 2.コンデンサを2個以上直列に接続する場合は、コンデンサに加わる電圧のバランスも考慮して、個々のコンデンサにかかる電圧が、定格電圧以下になるようにして下さい。そして、この時過電圧が印可されないように、漏れ電流を考慮した分圧抵抗器を各コンデンサと並列に入れて下さい。
- 3.直列接続時の分圧抵抗の求め方
コンデンサを2ヶ以上直列に接続するときは、電圧バランスを考慮してコンデンサと並列に分圧抵抗器を挿入します。分圧抵抗の値を求める例を説明致します。- (3-1)回路の展開
コンデンサ2個(C1、C2)を直列接続する場合の回路と等価回路は下図のように示すことが出来ます。
RB=分圧抵抗とし、次の内容を回路の前提条件とします。- 1.V2を定格電圧(=VO)とします。
(V1 - 2.Vは、VO×2のa倍とします。
V=2aVO(a<1) - 3.R2=R1×bとします。(b>1)(式1)
- 1.V2を定格電圧(=VO)とします。
- (3-2)「RB」を求める計算式の誘導
- (3-2-1)平衡状態ということより次の式が得られます。
(式2) - (3-2-2)前提条件から次の式が得られます。
V2≦VO(式3)
V1=V-V2(式4)
=2aVO-V2(式4') - (3-2-3)(式2)に、(式1)、(式3)、(式4')を代入して整理します。
2abVO(R1+RB)=V2{b(R1+RB)+bR1+RB}
2ab(R1+RB)≦2bR1+(1+b)RBcd
従いまして、分圧抵抗RBは、次式となります。
- (3-2-1)平衡状態ということより次の式が得られます。
- (3-3)計算例
400V470μF(LC規格値:1.88mA)の2個直列接続の場合の分圧抵抗の抵抗値を求めます。
a=0.8とすると400(V)×2×0.8=640(V)印可となります。
b=2とするとR2=bR1=426(kΩ)、LC=0.94(mA)となります。
分圧抵抗RBは、
となります。
- (3-1)回路の展開
- 4.再起電圧について
アルミニウム電解コンデンサを充電し放電後更に端子間を短絡させた後、解放しておくと、しばらくして両方の端子間の電圧が再び上昇する現象が生じます。この場合の電圧を再起電圧といいます。この現象が生じるメカニズムは、次のとおりです。
誘電体に電圧が印可されると、誘電作用によって誘電体の内部に電気的変化が生じ、誘電体表面に印可された電圧と正負反対に帯電します。この現象を分極作用といいます。
この分極作用により、電圧を印可した後、端子電圧が0になるまで放電し、端子間を開放しておくと、端子間に電位が現れて再起電圧を生じます。
再起電圧は、両端子開放後約10〜20日位がピークになりそれ以降徐々に低下します。再起電圧は、大形品(配線板自立形)ほど大きくなる傾向にあります。
再起電圧が発生後、両端子間を短絡させるとスパークのため、組立ラインで作業する人に恐怖感を与えたり、回路の低電圧駆動素子(CPU、メモリー等)が破壊される危険があります。その防止方法は、ご使用前に100〜1kΩ程度の抵抗器で溜まっている電荷を放電して下さい。
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軸受にWS2を適用する方法
実装に際して
1取り付け時の注意事項
- 1.コンデンサの定格(定格静電容量及び定格電圧)を確認してから、取り付けて下さい。
- 2.コンデンサには再起電圧が発生する場合があります。このときは、1kΩ前後の抵抗器を通 して放電してください。
- 3.コンデンサの極性を確認してから取り付けて下さい。
- 4.コンデンサは床などに落下させないで下さい。落下したコンデンサは、使用しないで下さい。
- 5.コンデンサを変形させて取り付けないで下さい。
2コンデンサ本体及び端子やリード線に強い力を加えないよう注意して下さい。
- 1.コンデンサの端子間隔とプリント配線板穴間隔とが合っていることを確認してから取り付けて下さい。
- 2.プリント配線板自立形(スナップイン形)コンデンサは、その配線板に密着する(浮いた状態にない)まで押し込んで取り付けて下さい。
- 3.自動挿入機によってコンデンサのリード線をクリンチ固定する強さは、強すぎないようにして下さい。
- 4.自動挿入機及び装着機の吸着具、製品チェッカー及びセンタリング操作による衝撃力に注意して下さい。
3はんだ付けについて
- 1.コンデンサの本体を溶融はんだの中に浸漬してはんだ付けしないで下さい。
- 2.はんだ付け条件(予備加熱、はんだ付け温度、端子浸漬時間)は、カタログ又は納入仕様書に規定の範囲内として下さい。
- 3.端子部以外にフラックスが付着しないようにして下さい。
- 4.コンデンサのスリーブが直接配線板のパターンに接触したり、他部品のリード線等金具部に接触しますと収縮したり割れることがあります。
- 5.コンデンサのスリーブを直接配線板に密着させ使用する場合、はんだ温度の高過ぎ、はんだ付け時間の長過ぎにより、スリーブが加熱され収縮したり割れることがあります。
- 6.機器の長期使用の場合、実装はんだ付け不良によってコンデンサとプリント配線板等の接続不良を起こし異常電流が流れることのないように、はんだ付け特性を管理してご使用下さい。
4はんだ付け後の取り扱いについて
- 1.プリント配線板にコンデンサをはんだ付けした後、コンデンサ本体を傾けたり、倒したり又はひねったりしないで下さい。
- 2.プリント配線板にコンデンサをはんだ付けした後、コンデンサを把手がわりにつかんでプリント回路板を移動しないで下さい。
- 3.プリント配線板にコンデンサをはんだ付けした後、コンデンサに物をぶつけないで下さい。また、プリント配線板を重ねるときコンデンサにプリント回路板、又は他の部品などが当たらないようにして下さい。
5はんだ付け後の洗浄について
- 1.コンデンサは、ハロゲン系溶剤などでは洗浄できません。
- 2.洗浄を保証したコンデンサに限り3.、4.範囲内で洗浄可能です。
- 3.洗浄方法
- 洗浄剤:クリンスルー710M、750H、750L、パインアルファST-100S、テクノケアFRW-14〜17、イソプロピルアルコール
- 洗浄条件:洗浄液温度60℃以下で、洗浄時間は浸漬洗浄、浸漬超音波洗浄、蒸気洗浄のいずれか又は、合計5分以内とする。
洗浄後は、十分な水洗いを行い、コンデンサをプリント回路板とともに熱風で10分以上乾燥させて下さい。また、この熱風の温度は最高使用温度以下として下さい。乾燥が不十分な場合、スリーブの二次収縮、座板の膨らみ等の外観上の不具合を起こす場合があります。洗浄保証用コンデンサに対して、洗浄後、洗浄液の雰囲気中又は密封容器で保管しないで下さい。
- 4.その他洗浄液での洗浄方法
- 洗浄剤:AK225AES(旭硝子)
- 洗浄条件:浸漬洗浄、浸漬超音波洗浄、蒸気洗浄のいずれか又は、合計5分以内。ただし、面 実装チップ品は2分以内。
(注意)代替フロン(AK225AESなど)は、地球環境問題の見地から将来使用禁止の方向であり、極力使用を避けて下さい。
6固定用接着剤、コーティング剤について
- 1.ハロゲン系溶剤などを含有する固定剤・コーティング剤は使用しないで下さい。
- 2.固定剤・コーティング剤を使用する前に、配線板とコンデンサの封口部間にフラックス残渣及び汚れが残らないようにして下さい。
- 3.固定剤・コーティング剤を使用する前に、洗浄剤などを乾燥させて下さい。
- 4.固定剤・コーティング剤でコンデンサの封口部(端子側)の全面をふさがないで下さい。
- 5.固定剤・コーティング剤の熱硬化条件は、カタログ又は納入仕様書の規定に従って下さい。(規定のない場合は、御相談下さい。)ディスクリート部品とチップ部品の混載のとき、チップ部品の固定剤の熱硬化条件によって外装スリーブに割れ・裂け及び縮みなどが発生する場合があります。
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その他の注意事項
1コンデンサの端子に直接触れないで下さい。
感電し、やけど等をする恐れがあります。必要に応じてご使用前に、1kΩの抵抗(発熱容量に対して充分に余裕のあるもの)を通して放電処理して下さい。
2コンデンサの端子間を導電体でショートさせないで下さい。
又、酸及びアルカリ水溶液などの導電性溶液をコンデンサにかけないで下さい。
3産業用機器に使用されているコンデンサについては、定期点検をして下さい。
点検項目は、次の内容を行って下さい。
- 1.外観:開弁、液漏れなどの著しい異常の有無。
- 2.電気的性能:漏れ電流、静電容量、損失角の正接及びカタログ又は納入仕様書に規定の項目。
4万一の場合、下記の内容にご注意下さい。
- 1.セット使用中に、コンデンサが開弁し、ガスが見えたときは、セットのメイン電源を切るか又は電源コードのプラグをコンセントから抜いて下さい。
- 2.コンデンサの圧力弁作動時、+100℃を超える高温ガスが噴出しますので、顔などを近づけないで下さい。噴出したガスが目に入ったり、吸い込んだりした場合には、直ちに水で目を洗ったり、うがいをして下さい。コンデンサの電解液は、なめないで下さい。電解液が皮膚に付いたときは、石鹸で洗い流して下さい。
5保管の条件
- 1.コンデンサを高温度・高湿度で保管しないで下さい。室内で5℃〜35℃の温度、相対湿度75%以下で保管して下さい。
- 2.アルミニウム電解コンデンサは、長時間放置すると漏れ電流が大きくなる傾向があります。特に周囲温度が高い程、この傾向は著しくなります。尚、電圧の印加により漏れ電流は減少します。長期保管品(製造後約2年以上)は、必要に応じ電圧印加処理を行って下さい。
- 3.コンデンサに直接・水・塩水及び油がかかる環境で保管しないで下さい。
- 4.コンデンサを有害ガス(硫化水素・亜硫酸・亜硝酸・塩素・オゾン・アンモニアなど)が充満する環境で保管しないで下さい。
- 5.コンデンサを紫外線及び放射線が照射される環境で保管しないで下さい。
6コンデンサを破棄する場合には、次のいずれかの方法を取ってください。
- 1.コンデンサを焼却する場合は、穴をあけるか又は十分つぶしてから高温で焼却して下さい(爆発の防止)。
- 2.コンデンサを焼却しない場合は、専門の産業廃棄物処理業者に渡して、埋立などの処理をして下さい。
7その他
ご使用に際しては、カタログの記載事項の他、下記の内容についてもご確認の上、ご使用いただくようお願いします。
日本電子機械工業会技術レポート
EIAJ RCR-2367
(電子機器用固定アルミニウム非固体電解、コンデンサの使用上の注意事項ガイドライン)
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